この原稿は救急医療ジャーナル'95第3巻第5号(通巻第15号)「救急救命法律講座」のページ を収載したものです。本シリーズのホームページ収載にご協力をいただ きました厚生省健康制作局に深謝申し上げます。
また、救急救命士資格を有する看護婦の場合、他の看護婦と比べて、行ってよいと される医療行為は多いのでしょうか。
A 今日の医療現場においては、医師とともに看護婦(准看護婦を含む。以下「看護 婦等」という)、診療放射線技師、臨床検査技師等のコ・メディカルスタッフが一体 となって医療の業務に従事し、適切な医療が供給されております。これらコ・メディ カルスタッフは、法律上、医師が独占する医業の一部を、医師の指示に基づいて行う ことができることになっており、医師法第17条の規定にかかわらず看護婦等であれば 「診療の補助」を、診療放射線枝師であれば「放射線の照射及び診療の補助として磁 気共鳴画像診断装置等を用いた検査」を、臨床検査技師であれば診療の補助として「 採血及び生埋学的検査」を、そして救急救命士であれば診療の補助として「救急救命 処置」を行うことができることとなっております。
ここで、「診療の補助一般を行える看護婦と他のコ・メディカルスタッフの業務と の関係について、今回の質問にあります救急救命士の行う救急救命処置に焦点を絞っ てもう少し説明しますと、救急救命士の業務の内容である救急救命処置は診療の補助 行為に含まれますが、この診療の補助行為については、保健婦助産婦看護婦法第31条 第1項及び第32条の規定により、医師、看護婦等以外の者が業とすることは禁止され ており、このままでは救急救命士が行う診療の補助としての業務は、これらの禁止規 定に触れることになります。そこで、そのような問題の生ずる余地をなくすため、救 急救命士法第43条の規定により、救急救命士は、保健婦助産婦看護婦法の規定にかか わらず、診療の補助として救急救命処置を行うことができることになっているわけで す。したがって看護婦等については、通常の業務の範囲内において、救急救命処置を 行うことは可能であると考えられます。しかしながら、救急救命士が行う救急救命処 置は、救急車等による搬送途上において、無線等による医師の指示の下に、その症状 が著しく悪化するおそれがあり、またはその生命が危険な状態にある傷病者に対して 行うものであり、特定の知識及び技能を要するものであります。したがって、そのよ うな知識及び技能を習得した者が行うことが望ましく救急救命士制度が創設されたも のです。こうした経緯を踏まえれば、看護婦等が救急車等による患者の搬送途上にお いて救急救命処置を行う場合には、救急救命士と同様の知識及び技能を待つことが望 ましいと考えます。さらに、保険医療機関に所属する救急救命士の搬送途上における 救急救命処置については、診療報酬上、救急救命管理料が認められております。
なお、救急救命士資格を有する看護婦等と他の看護婦等とでは行ってよい医療行為 に違いがあるかとのことですが、今まで述べてきましたように看護婦等としての業務 に救急救命士としての業務は含まれており、両者に差異はありません。