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   救急室シミュレーション実習(CPA患者想定)
このシミュレーションを行うに至った経緯

看護研究
看護師と救急隊員による救急室CPA患者シミュレーション実習の有効性

曳田映二*・早川好美*・佐藤好司*・梅村好春*・東松ゆみ**・長屋由美*** (*:岐阜県中濃消防組合/**:厚生連中濃病院/***:関中央病院)


はじめに
 地方の病院では、当直医1名に看護師2名といった少人数の当直体制をとっている所が多く、夜間突然運ばれてくるCPA患者に対して、必ずしも十分なケアができていると言えないのが現実である。
 この問題に絡んでくるのは、単に人手不足だけの問題ではない。普段よりそう多くはないCPA患者に対する医師や看護師並びに救急隊員の経験不足や、連携不足も考えられる。
 よりよいプレホスピタルケアを目指す場合、救急隊と病院サイドにおける連携は重要であり、中でも患者にいち早く接する看護師と救急隊員は救命処置に熟知し、数少ない人員の中で最大限に協力し合うのが理想といえる。
 今回当消防組合管内で、看護師と救急隊員の連携を重視した、実践的な救急室シミュレーション実習を行った。その結果を、アンケート調査をもとに実習の有効性と、相互の連携の重要性について考察を交えて報告する。
対象及び方法
 このCPA患者を想定した救急室シミュレーション実習は、当消防組合管内の救急指定病院に所属する看護師と救急隊員を対象に、病院所属の医師の協力を得て実施した。
 内容は専門の訓練用人形を用い、看護師による救急処置室準備から患者搬送、CPR、輸液、挿管の介助から除細動が行なわれるまでの、救急隊との連携及び処置介助についての実践的シミュレーションである。
 救急隊と看護師の連携というのは、心マッサージをはじめとして衣服の着脱、物品の手配並びに気管内挿管時や静脈路確保時の介助を直接救急隊員が行うものであり、少ない人員で救命処置を円滑に行うためのひとつの手段である。(写真)
 実習の前後に看護師43名に対して全16項目のアンケート調査(表1)を行い、救急処置の経験と自信度及び救急隊員との連携についての回答を得た。
表1:アンケートの内容をみる
(対象者の看護師経験年数:5年以下9名、5〜10年15名、10〜15年5名、15〜20年7名、20年以上7名)
 統計学的処理には、実習の前後の自信率(処置や介助ができる自信のある率)の比較をF分布法による母比率の検定で行った。
 また人形を使用したシミュレーションの有効性の有無については、実習参加者の総合的な評価との関係を、直接指導を行った医師並びに看護師のアドバイスやデモンストレーションの評価と比較して重回帰分析を行った。(評価方法は参加者にとってどの程度参考になったかを5段階法で評価し、統計処理はMS Excel統計アドインを使用した)
自信の向上率
結果と考察
 アンケートの有効回答数は43であった。(回収率=100%)
CPA患者に対する処置の自信率は実習後に有意に高くなった。(p=0.00059,図2)(有意水準α< (母比率における自信率の95%信頼区間は、実習前が0.27≦p≦0.57、実習後は0.69≦p≦0.93)。
 具体的にどのような点について自信がないのか調査した結果では、技術的なものでは気管内挿管や除細動の準備ができないという、器材準備に対する回答がもっとも多く、人的なものでは体験の少なさからくる不安、自信がないといった回答が大半を占めた。(下図)
対処できない理由
対処できないその他の理由
 また、救急隊員との連携についての質問では、実習前は依頼しにくい、何ができるのかわからないといった戸惑いや不信感が多く見られた。しかし、実習後には救急隊員への信頼度は向上し、積極的に連携しようとする回答が全数を占めた。
救急隊に協力依頼するか
 これは実際にシミュレーションを通じて相互に協力できる事を理解し、確認し合うことができたためであると考えられる。
 また、総合的な実習の評価については、指導側の医師及び看護師によるアドバイス等の関わりが大きく関与しているが(p<0.05)、人形を使用したシミュレーションについては総合評価と関係なく(p=0.20)、こういった実習を行う上で人形を使用したシミュレーションが大変有効なものであることを裏付けた。
EXCELによる回帰分析表
まとめ
 今回、看護師と救急隊員で協力し、人形を使用した実践的な救急室シミュレーション実習を行った。
 それは限られた人数ではあったものの、次の3点について明らかになった。
 1) 看護師と救急隊の連携、協力を深めるために、救急室シミュレーション実習は有効であった。
 2) 救急室シミュレーション実習により、看護師の救急処置及び介助に対する自信率を上昇させることができた。
 3) 人形を使用するというシュミレーションは、指導する側の評価とは関係なく、高い評価を得ることができた。
 よりよいプレホスピタルケアを行うために、患者搬送時に真っ先に対応する救急隊員と看護師はお互いにできる事を理解し合い、協力することが重要であるが、その手段としてCPA患者を想定した救急室シミュレーションは非常に有効な訓練といえる。
 参考文献
1) 内田治:EXCELによるアンケートの調査・集計・分析,東京図書,1997,102-207
その他の調査結果:
別のアンケート回答による個人のデータに関するグラフです。
回帰分析表の見方

寄与率

  回帰式の有効性(実際に役に立つか否か)を評価するための指標として寄与率があります。
寄与率は0.732であるので、目的変数(全般の評価)Yのもつ情報のうち、73%は説明変数の変動で説明できることを示しています。
なお、無意味な変数を使用したときに数値が下がるように自由度で補正した寄与率(自由度調整済み寄与率)は0.712でした。(この表では示していません。)


  残差

  実際のYの値と回帰式によるYの予測値との差を残差といいいます。この表では標準誤差という項目があてはまります。
  残差の標準偏差は寄与率と同様に回帰式の有効性を評価するための指標となります。


  偏回帰係数の有意性を判断するためには、t値とp値で判断します。
 有意でない変数は目的変数yを予測するのに不変な係数であると結論づけることができます。
 ここではX3のp値が0.208なので有意水準を0.05とするならばp値は有意水準よりも大きいので不要な変数ということになります。
 P値はt値の逆で小さい変数ほど重要な変数ということになります。
  つまり、人形を使用したシミュレーション実習の0.208..という数値はこの表でみれば勉強会の全般の評価とは関係がないということになります。
たとえていえば、実習を行った評価を調べるアンケートに「実習した施設はどうでしたか?」という質問があるようなものです。施設がいくら点数が良くても実習そのものとは関係ないということはおわかりでしょう。
  今回の実習ではシミュレーション実習をメインとして高い評価を得ましたが、参加した看護師さんたちの眼中には当然すぎるものと写ったようです。(自然だったのかもしれません(^_^;))
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岐阜新聞掲載内容です。
 アンケートについて
 参加者からの貴重なご意見
みなさん!有り難う!感謝感激雨あられ(^。^)


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